ブログトップ | ログイン

日常的酒場日記

kanmei44.exblog.jp

新生Ayano's Bar開店!

長く街で呑んだり遊んだりしてると本当に色々な出会いがある
その出会いが自分にとっては生きる糧になったりもする公私混同的人生なのだけれど こないだも街で出会った素敵な人の店を手伝わせてもらった

「Ayano's bar」の田中さんと出会ったのは2008年の秋ぐらいだったろうか。
表参道に大分前に作った「tree's」ってバーに久し振りに顔を出したらマスターの磯部が「矢野さんが好きそうな店が出来ましたよ」って「SARA」の近くに出来た店の事を教えてくれた。そんな酒場ネタにはやたらフットワーク良い自分は早速次の梯子酒を呑みにその店に行ってみた。スキーショップジローの信号を渡った角の古いマンションビル2階、小さく「Ayano's bar」の看板が灯っていた。1,2階に複雑に飲食店が入る一画の奥。
扉開けると正面にカウンター、右奥にテーブル席。12,3坪ぐらいだろうか、居抜きそのままって感じ。カウンターは小さく4、5席ぐらい。その向こうに金髪でやけに日に焼けた田中さんがいた。すこしなまりの残る(稚内と盛岡MIX)朴訥な話し方に惹き付けられて、気付けばよく喋る自分。聴き上手な田中さん。その年閉めてしまった「マルクス」って酒場を彷彿させる居心地感、そして田中さんの人的魅力と人脈の広さが導いてくれる出会いや酒場時間がとにかく気持ち良くて、翌2009年の春に店を閉めるまでの短い期間、とにかく良く通ったし、よく呑んだ。酒呑みはいつも最後に辿り着く酒場を探してると思うのだけど「マルクス」って寄港地を無くした自分が久々に出会った寄港地。でも、やっと見つけた寄港地はまた半年間でなくなってしまった。
たった半年ってのは田中さん癌になってしまった。正確には既に癌になっていた。開けてみたけど半年続けるのがやっとだった見たい。身体がきつくて、それと動けるうちにしときたい事もあるって本当にみんなに惜しまれながらあっと言う間に店を閉めてしまった。これが最後かなって本当に切なかった。デモね酒場の神様は田中さんを見捨てなかった。

田中さんは80年代、「六本木インク」や「ミントバー」出来る前から同じビルの1階で「サーティーボーイ」って店をやってた。ペーちゃんがやってる「ペーズマジック」が入ってる辺りだろうか、、、今は何の片鱗も無いけど。
松田優作や坂本龍一なんかも通ってた不思議にいつも混んでる繁盛店だったみたい。その後千駄ヶ谷に娘の名前を付けた「Ayano's bar」を開店(そのロゴはさらさらと龍一さんがカウンターで書いたものみたい)。そして家族で盛岡に移って今度は盛岡や札幌で数店舗を展開した後、東京に戻ってきて赤坂、青山と店をやり続けた天性の酒場職人。音楽が好きで、人が好きで、人に愛され、、、、

そんな田中さん店締めたあとプライベートで2度ほど会ってるうちにやっぱりまた店やりたいって言い出した。嬉しいやら心配やら複雑な心境。でも、体調は思いの他良いらしい。相変わらず朝まで呑むし、煙草は吸うし、そして相変わらず女にもてる。「どうせなら、カウンターの外じゃなくて中で死にたいよね」ってボソッと語る田中さんの言葉に思わず目頭熱くなる。そんなこんなで新生「Ayano's bar」作りが始った。
ここから先は前の日記にも少し書いたので省略するけれどそんな新生「Ayano's bar」最初はこんな物件でした
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_181635.jpg

とにかくお金掛けないでって最初はこのまま多少手直しして始めようと、、、(本当に予算無いし、、)でも人間事が始まると欲が出るものです それにこのままじゃ田中さんの膨大なCDとレコードどこに仕舞うのと、、、で取り合えず壁天井壊してみました スケルトンってやつです
(写真に写るは骨董通りDENアクアルーム作った頃からの付き合いになる頼もしい清田監督です)
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_1813727.jpg

これで収納スペースはなんとか確保できそうです。

そしてこんな感じになりました(同じアングルで撮ってみました)
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_134522.jpg

カウンターは得意のラワンベニア既存のカウンターに被せただけ でも今回も粉まみれになって削りました ラワンベニアだって手間掛けてあげるとほらこの通り良い感じで木目だってそれなりに出てくるんです。
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_1821864.jpg

床は元々カーペット。嫌だって事で剥がしました。でもその上に何か貼るお金無い。なんで出てきたベニア下地に黒ペンキ。壁もクリア塗って汚れが付かないように。
壁にはコートフック兼ねたレコードラックを付けてその上はとにかく付けられるところに目一杯棚、棚、棚。スケルトンが生きるってもんです。相変わらず全部ラワンベニア。
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_12574238.jpg

剥き出しの配管、配線、既存のエアコンまでペタペタ黒塗装。
玄関の扉も既存扉ペタペタに黒塗装、意外と良い感じ。真鍮製の店名プレートはNOSも手伝ってもらったアーティストの菅野猛氏(かんちゃん)に頼み込んで子供のお小遣いのようなお金で作ってもらいました。
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_1843484.jpg

これが龍一さんが書いた字らしいっす

照明やスツール、冷蔵庫やレンジに至るまで全部ヤフオク、楽天で揃えました。掛かった予算は200万ちょっと。でも、意外と変るもんです。
とにかく音好きな田中さん。今回もバックバーの一番ど真ん中は酒でなくオーディオスペースとなりました 因みにスピーカーはB&Wのブックシェルフ。良い音してます。
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_13221564.jpg

田中さんがコツコツ飾ったり、置いていく小物やレコードにCDがどんどん店に命を吹き込んでいって、まるで前からそこにあった店のようになって行きます。
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_1824261.jpg
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_1831335.jpg
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_1833643.jpg

そして
コクピットのように小さいコの字カウンターを囲む10席の酒場が出来上がりました。

先週金曜日新生「Ayano's bar」めでたく開店。
田中さんの事を「ヨッチ」と慕う田中ファンが狭い店内に犇きます。
新生Ayano\'s Bar開店!_b0185094_184392.jpg

嬉々として働く田中さんはとても癌患者&62歳なんて思えない活き活きとした笑顔でご機嫌に働いてます。癌なんかどっかにいっちゃう奇跡を信じながら暫くはアヤノズ通いが続きそうです。

場所は六本木の芋洗い坂を下った所。ストライプ美術館のちょい手前にビレッジNo.7ビルって渋いソシアルビルがあってその3階です
一様HPもあるんです 地図載ってます
http://homepage2.nifty.com/ayanosbar/menu.html
酒好き、人好き、音楽好きな人にいつでも扉は開かれてます
気になったら覗いてみてください
自分みたいに虜になってアヤノズ通いが始っても知りませんが、、、、(笑)
by kanmei44 | 2010-06-30 18:42
<< 徒然酩酊日記 サザザさん >>