大阪で長くバーテンダーやってる知人から
独立するんで物件見に来て欲しいって依頼があり久々の西出張
いつもなら仕事にかこつけてどっぷりミナミな夜をすごすのが定番なれど
今回は青山まるの森さんとオージーの呑み友達グウェンご一行が京都に遊びに行ってるというので前乗りで久々に京都に行ってきた
十分に動機が不純な酒飲みは物件仕事を翌日に控えて前日昼には京都入りで呑む気満々。外人チームとの会食合流は夜だから時間タップリ
京都駅に着いたらまずは橋をとぼとぼ渡り有名ラーメン店を脇目に
橋脇の団地地帯に下りていく
目指すはまんぼ焼き「山本」
随分と久しぶりに暖簾を潜る
駅周辺はディープ京都な激シブい飲み屋や食い物屋の宝庫
中でもここの濃さはどんなに有名店なろうと相変わらず。
暫く来ないうちにごま塩パンチなオヤジは坊主に、
可愛かったオカミはちとタップリ目に変ってた。
平日遅めの昼時は有名店なれど8割がた常連。客層特濃級。
ペースの速い京都弁が飛び交う中、
早速ホルモン炒めてもらってビールをグビリ。
昔は細っこいからホソって地元言葉使ってたけれど今はちゃんとホルモン。
キャベツにホルモン入れてソースに七味振りかけてあっと言う間に出てくるホルモンは殆どキャベツとピリカラソースなジャンクな味。
なんと100円なりで素敵。
まんぼ焼きは当然全部入りでうどんにしてもらう。
関西では珍しい広島風をアレンジしたようなまんぼ焼き。
薄く延ばした生地に油カス、スジ肉、キャベツ、タクアン、紅生姜なんか振りかけてうどん重ねて玉子乗っけて青ネギどばって感じ。玉子は生落しが有名なれど自分は半熟好み。ドロソースもタップリ掛けて
正にジャンクスナックの王様ここにありって感じ。
途中から切り替えた宝ハイボールに実に良く合う。
ハイボールがいつになく美味いんでもう一回ホルモン焼いてもらう。
至福の昼酒。
観光にあまり興味無い自分は前から気になってた老舗ジャズ喫茶目指して一路京大裏辺りにある「YAMATOYA」へ。
コーナー型のどデカいスピーカーヴァイダボックスから
静かにジャズが流れてる。
コーヒーが美味い。客は常連がカウンターに一人。
スピーカー独り占めの贅沢。
現代オーディオからはおよそ出てこないゆるりと太い音にしばし溺れてみる。うつらうつらと贅沢なまどろみを貪った後は鴨川をゆるゆる下って
久々の京都をそぞろ歩いて次なる酒場の聖地に。
それは藤井大丸裏の「松川酒店」。
以前から噂に聞いてた京の角打ち。本日初参戦也。
京都らしい間口狭くて奥に長い酒屋は明るいうちから常連客で大賑わい。
なんとなく吸い込まれるように奥に向うも相変わらず勝手分らず奥に鎮座ます先輩にどうすりゃいいのと聞けば「好きにすれば良いさ」と禅問答のようなお答え。一升瓶並ぶテーブルで勝手にコップに酒ついでると
先程の先輩「もっと目一杯注がなきゃあかんで」と優しいアドバイス。
なんとなく、ずうずうしく先輩のテーブルの対岸を間借りすると先輩食べてるホタルイカの刺身が美味そう。段々ずうずうしくなってきて先輩に聞くと冷蔵庫指差す。見ればちゃんと刺身なんかも並んでる。
その後お燗に切り替えようとしてたら今度は隣の先輩が隣のカウンター席に連れてってくれる。
カウンターの酒燗器と下にあるチロリでこれもセルフサービス。
段々楽しくなってくる。カウンター奥にあるおでんも全て勝手に取るらしい。
そしてなんと会計は全て自己申告の後払い。でも、いまだ店の人に遭遇してない。
すべて客が客仕切ってる。ニューカヤバを超える楽しさ。
そして酒飲みの信頼関係で成立してるこの素敵さ。いやいやたまらない。
奥に行けば行くほど常連グレードが上るらしい。
一番奥の畳框に腰掛けて呑むには一体どのくらい時間が掛かるのだろう。
ちょっとだけ京都人が羨ましくなる。
すっかりずうずうしく仲良くなってしまった先輩はなんと78歳。40年通ってるとの事。先輩はここだけじゃなくて大体3件は梯子するという。いや、恐れ入りました。
そして気軽に2件目に誘ってくれる。サンボア顔出すのも忘れて、即決お供しましょうどこまでも、、、。
コップ酒1杯に燗酒2杯、ホタルイカの刺身にサラミ1本で760円也。値段も素敵過ぎでした。
先輩外出るなり、サングラスにソフト帽。後姿も素敵過ぎ。
2人のヤンチャな先輩に連れられて錦市場を歩くと方々から声が掛かる。
途中なぜかゆで卵をお土産に握らされる。
どこの何が美味いねんと丁寧に教えてくれる。
楽しくてたまらない。
そして寺町出る少し手前の路地を入ると暖簾も看板も無い引き戸をガラリ。
なんとも渋い立ち飲みカウンターが現れる。100%ジモティな先輩達がゆるりと呑んでる。
立ち飲みにも一見他所者じゃわからない領域があるとはさすが京都。
ここでは先輩が有無を言わさず御燗酒。
ポロッと話した山の話に反応した隣の先輩はいきなりジャンパー脱いで「これ見いや」とクライマー魂語りだし
こっちからもまあ呑めやが始まる。酌合戦を繰り返してるとあっと言う間に外人チームと合流時間。至福の時は本当にあっと言う間に過ぎていく。
お金を取ろうとしない心意気の塊のような先輩達に頭下げ通して店の中に下る暖簾潜って店を出た。
まだ明るい新京極の喧騒がほろ酔いの頭を現実に引き戻す。
小田さん、藤田さん、本当にご馳走様でした。また、必ずお邪魔しますね。
こんな体験しちゃった後回った外人好みで小奇麗な和食とジモティ不在の店にどうしても不甲斐無さを感じてしまったのは言うまでも無い。
予約を取ってくれていた枝魯枝魯は相変わらずの大繁盛。
和食でお決まりが3980円というのは額面上安いかも知れないけれど、
ここの料理とサービスに払う代価としては全くCPを感じられなかった。
盛業に胡坐をかいて客への視線の高さを忘れてしまった店と言ったら言い過ぎだろうか。
充実した時間(嗜好は味だけじゃないからね)を提供する代わりに頂く代価というお金の価値や意味をちゃんと考えてるのだろうかと首を傾げる店が少なくない。客である自分達自身の責任でもあると思うけれど、気持ちの伝わってこない店に気持ちを伝えるほどのお人好しに自分はなれない。その後まわった2,3件も大なり小なりそんな感じ。昼の一人酒とのギャップに思わず笑ってしまった。
でも、その日グウェンが取ってくれてた町家を改装した宿泊施設は素敵だった。
アレックス・カーって在日アメリカ人が経営する町家を利用した一棟丸貸しの宿泊施設。
http://kyoto-machiya.com/machiyastay.html
市内になんと10個もの町家を所有してる。
多分天井抜いて改装した2階の広いリビングでコンビ二で買ってきた
酒とアテのダラダラがこの夜一番の素敵。
いろんなこと考えさせられた中身の濃い一日が過ぎ、
久々のふかふかフトンで寝た翌日は老舗の前田コーヒー店で皆と朝飯。
やけに美味そうなホットドック写真の魅力に勝てず朝からジャンクな味にかぶり付く。
何故か古い喫茶店のホットドックは美味い確立が高い。いや中々でした。
室町和久傳に昼飯行く皆とは別れて、岡崎で気になってた山元麺蔵のホルモンつけうどん食べて、
ちと打合せまで時間あったから何必館の屋上庭園で暫しぼっとする。
雨ならここは本当に気持ちがいい。
そして美しい。
そして京阪乗ってバーが待ってる大阪へいざ。